先祖からの因縁をもって生まれた、といわれる「三業干支」について解説していきます。
「三業干支」とは
「三業干支」 とは、“先祖の業”(因縁)の影響を強く受けるとされた干支のことです。よくもわるくも先祖が積み重ねてきた行い、業を引き継ぐとされ、その因縁や特徴は干支ごとに異なります。また「異常干支」と同様、「三業干支」も「算命学」独自のものであり、「四柱推命」にはこの概念がありません。
「業」は、目には見えないものなので、本人的には自覚が無いことが多いのですが、「三業干支」を命式にもつ人は、先祖が残した業を引き継いで生まれてきている、といわれています。基本的に「業」というのはあまりいい意味をもたないため、後の世代に引き継がせないためにも、自分の代で「業」を解消させる必要があるでしょう。干支によってその業の解消法は異なりますが、共通して“先祖供養”をきちんと行うことが、「三業干支」の凶意をやわらげるといわれています。
「異常干支」との違い
まず、該当する干支の数に違いがあります。「異常干支」は、「通常」と「暗合」を合わせて13の干支が該当しますが、「三業干支」は、20の干支が該当しています。「六十干支」は、全部で60の干支があるため、3割の人が「三業干支」に該当する、ということになります。
また、影響力にも違いがあり、「異常干支」のほうが表に出やすいうえに影響力が強いです。一方で「三業干支」は、無意識のうちに影響されるため、「異常干支」に比べると影響力は弱いとされています。それに「異常干支」は、命式の場所によってその影響の度合いが変わりますが、「三業干支」は、年柱、月柱、日柱のいずれにあっても影響を及ぼすといわれています(日柱にある場合が最も影響力が強いとされることもあります)。
「三業干支」の種類・一覧
「三業干支」は、該当する20の干支が、それぞれ2つずつ10種類に分けられます。
不族の業 | 「甲子」「甲辰」 |
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祇王の業 | 「乙巳」「乙酉」 |
不信の業 | 「丙辰」「丙戌」 |
徳攻の業 | 「丁丑」「丁未」 |
参籠の業 | 「戊辰」「戊戌」 |
倒柱の業 | 「己巳」「己酉」 |
傷体の業 | 「庚辰」「庚戌」 |
一人行の業 | 「辛丑」「辛未」 |
不子の業 | 「壬辰」「壬子」 |
倒異の業 | 「癸酉」「癸亥」 |
10種類別の詳細については以下にまとめました▼
不族の業
「不族の業」は、家系と結婚に問題が生じやすい業で、「甲子」と「甲辰」が該当します。
- 家族がまとまりにくい
- 結婚縁、子供縁が薄い
- 子供が離れやすい
- 親兄弟と同居すると問題が生じやすい
「不族の業」をもつ人は、家庭運が衰退傾向にあるため、家族がひとつにまとまりにくく、親兄弟と同居すると問題が生じやすいので、離れて暮らしたほうが良いとされています。また、婚姻関係を結ぼうとすると波乱が起きやすく、なかなか結婚に至らないことがあります。できたとしても平凡な結婚生活とはなりにくく、子供縁も薄いため子供が授かりにくい傾向もあるでしょう。
子供ができたとしても自分のもとから離れやすいため、跡取りとはならず、男女共に自分の代で家系が終わりやすい、とされています。孤独になりやすいので、それだけの忍耐力が必要となりますが、結婚後も仕事を続けたり、非凡な結婚生活(国際結婚や年の差婚など)であれば、凶意はやわらぐといわれています。
祇王の業
「祇王の業」は、結婚に問題が生じやすい業で、「乙巳」と「乙酉」が該当します。
- 結婚できにくい
- 結婚すると波乱になりやすい
- 結婚、離婚を繰り返す
- 晩年は平穏
「祇王の業」をもつ人は、結婚運に問題が生じやすいため、結婚自体ができなかったり、結婚をすることで波乱になりやすいです。異性に裏切られたり、深刻なトラブルを抱えたりするなど、何かと結婚生活が波乱になるため、結婚、離婚を繰り返しやすいとされています。また、幸せな結婚生活を送れた場合は、仕事に問題が出るとも。
ただ、波乱の結婚生活を送ることでこの業は解消されるため、その場合は晩年になると穏やかな日々を送れるようになるといわれています。晩婚も良いですが、独身としての人生を謳歌するのも良いでしょう。
不信の業
「不信の業」は、人から裏切られやすい業で、「丙辰」と「丙戌」が該当します。
- 大事な時に信頼していた人に裏切られる
- 人に不信感を抱きやすい
- 裏切られると運が上昇
- 自分が裏切ると運が落ちる
「不信の業」をもつ人は、人生の大事な時やチャンスが巡ってきた時に、信頼していた人から裏切られやすいといわれています。なので、人に対して不信感を抱きやすくなり、人間不信に陥ることも少なくないでしょう。
ですが、人に裏切られるたびに運が上昇するとされています。ただ、自分が人を裏切った場合は運が落ちるため注意が必要です。
徳攻の業
「徳攻の業」は、一人になることができにくい業で、「丁丑」と「丁未」が該当します。
- 人に好かれやすい
- 依存されやすい
- 一人になりにくい
- 尽くしても満たされない
「徳攻の業」をもつ人は、他人から好印象をもたれやすく、頼りにされることが多いです。ただ、それだけに好きでもない人に好かれたり、依存されたりするということも少なくありません。なので一人になれる時間があまりなく、自由に動けなくなってしまいます。
また、人からの好意に応えようと尽くしますが、心は満たされない、ともいわれています。受け身の姿勢で運が上昇する、とされますが、依存関係になるような付き合いを避けるようにできると良いでしょう。
参籠の業
「参籠の業」は、人生の自由が得られにくい業で、「戊辰」と「戊戌」が該当します。
- 思い通りに生きにくい
- 制限やしがらみがある
- 好きでもない仕事をしやすい
- 受け身のほうが良い
「参籠の業」をもつ人は、人生を自分の思い通りにできにくいとされています。「参籠」とは、神社仏閣に籠って祈願することを表しているため、何かしらの制限やしがらみが人生上にあり、縛られているような感覚で生きていることが多いでしょう。
行動も精神もとらわれやすく、好きでもない仕事をしていたり、何らかの概念や思想に縛られていたりします。自分の人生を自由に選択できにくいですが、自由を求めるよりも受け身でいたほうが良いとされています。
倒柱の業
「倒柱の業」は、家や組織の柱を倒す業で、「己巳」「己酉」が該当します。
- 栄えている家に生まれると没落させる
- 没落している家に生まれると栄えさせる
- 家業を引き継いだり、組織の上に立つと破滅させる
- 早くに家を出たほうが良い
「倒柱の業」をもつ人は、一家の柱や組織の柱を倒してしまう業で、代々続く家業を潰してしまったり、所属する組織を破滅させてしまう、とされています。「倒柱の業」をもつ子供が生まれると、栄えていた家が没落するといわれ、早いうちに家から出したほうが良いともいわれていたようです。
ただ、没落していた頃に生まれると逆に栄えさせるともされています。また、女性の場合はそれほど影響がないともいわれています。
傷体の業
「傷体の業」は、身体に傷を負いやすい業で、「庚辰」「庚戌」が該当します。
- 怪我をしやすい
- 病気をしやすい
- 身体に傷を負うと運が上昇
- 先祖供養が必要
「傷体の業」をもつ人は、自分の身体に傷を負いやすい業をもつため、事故やスポーツ等での怪我が多く、病弱である場合も少なくありません。ただ、身体が傷められると運が上昇するといわれ、臨時収入を得たりするともいわれています。
「傷体の業」は、先祖に不慮の死を遂げた人物がいる等の因縁をもつとされているため、先祖供養をきちんと行うことが特に大切になるでしょう。自傷行為には注意が必要ですが、身体を鍛えるのも良いです。
一人行の業
「一人行の業」は、結婚によって財運が上下する業で、「辛丑」と「辛未」が該当します。
- 独身のままだと運が良い
- 結婚をすると運が下がりやすい
- 男性は、再婚のたびに運が上昇
- 女性は、再婚すると運が下がりやすい
「一人行の業」をもつ人は、独身のままだと財運が良いですが、結婚をすると財運は下がるといわれています。ただ、男女で違いがあり、男性の場合は、離婚をしやすいですが、再婚を繰り返すたびに財運が上昇していくとされています。
女性の場合は、離婚すると財運が上昇しますが、再婚すると財運が下がるといわれています。離婚した場合は、そのまま独身を貫いたほうが財運は良いでしょう。
不子の業
「不子の業」は、子供との縁が薄い業で、「壬子」と「壬辰」が該当します。
- 子供ができにくい
- 子供が自分のもとから離れやすい
- 子供が自分の思い通りにならない
- 子供に関する悩みを抱えやすい
「不子の業」をもつ人は、子供との縁が薄いため、子供ができにくかったり、生まれてきても早くに自分のもとから離れていきやすい、といわれています。また、自分の思い通りにならないような子供が生まれるともいわれ、悩みを抱えることも少なくないでしょう。
晩年も一緒に暮らすことはあまりないですが、密着しない親子関係でいるほうが凶意はやわらぐとされています。
倒異の業
「倒異の業」は、異性を倒す業で、「癸酉」と「癸亥」が該当します。
- 周りの異性に苦労を掛けやすい
- 異性を踏み台にして成功しやすい
- 時に非難されやすい
- 最も深くて強い業
「倒異の業」をもつ人は、外から来た異性を倒すといわれ、周囲の異性に苦労を掛けたり、異性を踏み台にして成功をする、とされています。異性を不幸にして成功するということで、時に非難されたり、人を裏切って後に自分に返ってくるということもあります。
「倒異の業」は、三業干支の中でも、“最も深くて強い業”をもつとされており、人への敬意と感謝の気持ちは常に忘れないようにする必要があるでしょう。
まとめ
「三業干支」は、先祖からの因縁(主にあまり良くない業)を物語っているだけあり、所々にぎょっとするような文面が書かれていることが多いです。ですが、それぞれの業の解消法やアドバイスなどもあり、上手く人生を渡っている人もいます。そのため「異常干支」などと同様に、ネガティブなイメージをもつ必要はなく、先祖供養をきちんと行い、過去にこだわらないような生き方ができると良いでしょう。